今の芋焼酎は風味、味わい、品格ともにとてつもなく深くて広くなっている。その様変わりには度肝を抜かれる。
このブームをつくったくらいに、いろいろな銘柄や品質がそろっていて、焼酎はいまや日本のワインともいえる存在感を持っている。
今でこそ芋焼酎は日本の至る所で造られているが、地域や材料によっても、また蔵元によっても、大きく違ってくる。むろん味わい方にもそれぞれの銘柄で違ってこよう。
だが芋焼酎なら旧薩摩にしくはなし、とするところだろう。

鹿児島で「酒」といえば「焼酎」を指す言葉だというのは有名な話になっているが、ここの芋焼酎を楽しむには、それなりの雰囲気や知識は持っておきたい。
本当に楽しむなら鹿児島に飛んで、その地で「出来立て」をやるに限るが、ちょっとその方法のいくつかを披露しよう。
鹿児島流のやり方は多くがお湯割りだ。酒器は黒ぢょかという陶器で、それでお湯割りをやる。また昔ながらに囲炉裏の炭火で温める「だれやめ」(疲れを取るという意味)でやるもよし、一般的に黒ぢょかでお湯割りもよし、最近流行のロックなら、薩摩切り子でやってみたい。

最近の芋焼酎は価格もかなり値の張るものも多く、蔵元のほうから、飲み方の指定などもあるように聞く。
たしかに造り手にとって、焼酎をうまく飲んでもらいたい思いがそうさせるのか。その言に従うのも、またうまい方法かもしれないが、やはり酒には一家言を持ち、自分の飲み方を持っていたいものだ。
肴はキビナゴなど土地のものが最高だ。澗でも冷やでもお湯割りでもうまい焼酎ならば、海の幸もいける。こんな芋を使った焼酎造りは、薩摩から八丈島に密貿易の科で流された薩摩藩お抱えの回漕問屋、丹宗庄右衛門によって伝えられ、今も伊豆諸島の各地で根付いている。
芋の焼酎にくさやの干物・・・。当時の人達はどれほどうまい思いをしたものか、思うだに喉が鳴ってくる。いつの時代も酒は人間社会にあって、なくてはならぬものであった。